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請求範囲に機能的表現が記載された場合の請求範囲の解釈法理について

    조회수
    237
    작성일
    2015.01.21

1.請求範囲の解釈の一般法理

発明の技術構成の確定において、(i)その請求項の文言の一般的な意味通りに解釈するか、或いはii)発明の詳細な説明や図面に記載された事項によって解釈するかが争点となった事案に対する大法院の判例を調べてみると、特許発明の技術的範囲の確定において、請求項の記載をその文言の意味のみに従って行っており、発明の詳細な説明や図面の内容によって補完(制限または拡張)解釈することを排斥している。すなわち大法院は「請求項の記載がその分野における通常の技術者が理解することができ、誰が見てもその記載が誤記であることが発明の詳細な説明や図面に照らして明確だと言えない限り、特許発明の技術的範囲の確定は請求項の記載に基くべきであり、発明の詳細な説明や図面の内容によって補完(制限または拡張)解析してはならない」という法理を多数の判例を通じて確立している。

 

2.請求範囲に機能的表現が記載された場合の請求範囲の解釈法理

1)従来の大法院の全般的な態度は、機能式請求項のみを別途に取り扱うよりは機能式請求項を「技術的構成が不明確であるか、技術的範囲が分からない場合」の一類型とみなして、一般的な請求範囲の解釈の原則と同じ基準を適用しているとみられる。しかし、最近の2009.7.23.宣告された大法院の20074977の判決は、拒絶決定に対する判決ではあるが、機能式請求項に該当するか否かの判断基準と解釈基準について具体的な事案を通じてそれなりの基準を提示している。

 

2)大法院20074977の判決は「特許請求の範囲は、特許出願人が特許発明として保護を受けようとする事項が記載されたものであるから、発明の内容の確定は、特別な事情がない限り、特許請求の範囲に記載された事項によらなければならない。また発明の詳細な説明や図面など明細書の他の記載により特許請求の範囲を制限し、又は拡張して解釈することは許容されず、かかる法理は、特許出願された発明の特許請求の範囲が通常的な構造、方法、物質などではなく、機能、効果、性質などのいわゆる機能的表現で記載された場合でも同様だと言える。したがって、特許出願された発明の特許請求の範囲に機能、効果、性質などにより発明を特定する記載が含まれている場合には、特許請求の範囲に記載された事項によりそのような機能、効果、性質などを持つ全ての発明を意味すると解釈するのが原則だ。」と判示することで、機能式請求項の場合にも請求範囲に記載された文言に忠実して解釈しなければならないということを明らかにしている。

 

3)上記大法院20074977判決の具体的な事案

イ.事案の概要

発明の名称を「音声制御方法」とする出願発明(コンピューターゲームに登場するキャラクターが発声する音声を制御する音声制御方法に関するものであって、キャラクターの属性によってキャラクターの音声の性質を変化させることを特徴としている)について、特許庁審査官は、出願発明の請求項1~15は比較対象発明と比べて進歩性がないと判断して拒絶決定をし、これに対して出願人は拒絶決定不服審判を請求しながら、請求項15の内容を補正した。しかし、特許審判院は補正後の請求項15も独立特許要件を満たしていないという理由で補正却下決定をし、原決定を維持した。

 

ロ.この事件で問題となったのは請求項15であり、具体的な構成をみると、「コンピューターゲームに登場するキャラクターが発声する音声を制御するゲーム装置であって(前提部構成)、プレーヤーの操作によってキャラクターの体型を決定する決定手段と(構成要素1)、外部から入力される音声または予め準備される音声の聲質を前記キャラクターの体型に関する属性情報に基づいて変換する変換手段と(構成要素2)、前記変換された聲質の音声を前記キャラクターの音声として出力する出力手段(構成要素3)」に関するものである。

 

ハ.機能式請求項の解釈

上記事案で実質的に争点となったのは構成要素1のプレーヤーの操作によってキャラクターの体型を決定する決定手段であるが、原審の特許法院の2007.11.8.宣告2007623判決では構成要素1の解釈と関連して、発明の詳細な説明に記載された実施例に基いて、構成要素1の「体型」はキャラクターの「身長と体重」に対応する意味であり、「プレーヤーの操作によってキャラクターの体型を決定する手段」は、「プレーヤーが任意にキーボードの十字キーの操作によってキャラクターを縦方向および横方向に伸縮することで身長と体重を決める構成」を意味すると狭く解釈した。

原審の構成要素1に対する上記のような解釈は、発明の詳細な説明で、プレーヤーの操作によってキャラクターの体型を決定する手段に関する実施例の一つとして記載されているものに基いている。しかし、上記大法院の判決では、「プレーヤーの操作によってキャラクターの体型を決定する決定手段」は機能、性質などによる用語が含まれている構成であって、「プレーヤーの操作によってキャラクターの体型を決定する作用乃至機能をする全ての構成」に解釈することが原則であるが」と説示した後、続いて「発明の詳細な説明や図面など、明細書の他の記載によると、‘キャラクターの体型’についてはキャラクターの身長と体重を意味すると定義または説明されており(体型に関する大法院の解釈は原審と同じである)、「キャラクターの体型を決定する決定手段」については、「プレーヤーが任意に十字キーの操作によってキャラクターを縦方向および横方向に伸縮させることで身長と体重を決める構成」および「プレーヤーがキャラクター選択画面でデフォルトキャラクターの体型を選択する構成」に説明されているので、構成要素1(プレーヤーの操作によってキャラクターの体型を決定する決定手段)は、上記のように「プレーヤーの操作によってキャラクターの体型を‘選択するか、または作成して’キャラクターの体型を決定する構成を意味すると解釈される」とし、機能的表現を解釈した。そして、大法院は、原審が構成要素1を「プレーヤーが任意にキーボードの十字キーの操作によってキャラクターを縦方向および横方向に伸縮させることで身長と体重を決定する構成を意味する」と判断した解釈は、明細書の実施例に示す構成の一つを挙げて構成要素1を制限解析する誤りをしたと指摘した。

 

3.終わりに

以上の大法院の判示内容と原審の判示内容との間の微妙な相違点を調べてみると、大法院は、プレーヤーが操作によってキャラクターの体型を選択し、又は作成して体型を決定するのであれば、全て構成要素1に該当すると解釈したのに対し、原審は、これより更に狭く、プレーヤーが十字キーの操作によってキャラクターを縦方向および横方向に伸縮させることで身長と体重を決めることと、実施例に基いて限定的に解釈した相違点がある。

上記大法院の判決は、プレーヤーの操作方法と体型の内容について詳細な説明と図面の実施例に示す記載内容に拘らず、プレーヤーが「操作」によって体型を選択、決定するのであれば、全て構成要素1に含まれるとみたので、上記大法院の解釈基準によると、プレーヤーがマウスを通じて体型を選択・決定しても、音声入力装置を通じて体型を選択・決定しても、またはキーボードを利用して実施例に記載されていない方法で体型を選択・決定しても何れもが構成要素1に該当するとみなすことになったのだ。